原告団長ご挨拶


控訴審開始にあたって

 

 7月29日、広島地裁は、原告84名全員について、被爆者健康手帳の交付を命じる判決を言渡しました。原告・支援者だけでなく「黒い雨」地域で健康被害に苦しんでいる人たちをはじめ驚くほど多数の人と団体から共感と喜びの声が寄せられました。広島県と広島市は、私たちの控訴断念と早期救済の要求を踏まえ控訴断念の方針を決め、国に控訴断念を認めるよう交渉を続けました。

 しかし,国は不当にも控訴しました。これに対して全国から抗議と撤回を求める声が上がりその数は100近くに及んでいます。しかも国は,健康診断特例区域の「検証」を行うといい,「検証」に関する「検討会」を組織し,先日(11月16日)第1回の会合が開かれました。しかし、国は、私たちの要求を「科学的・合理的根拠がない」として40年以上にわたって拒否し続けてきたのです。これに期待することはできません。

 私たち「黒い雨」被爆者に残された時間は僅かしかありません。控訴審でも、私たち「黒い雨」被爆者を早く「被爆者」と認めていただくよう心から願っています。

 

原爆「黒い雨」訴訟原告団長 高野正明

2020年11月18日


「黒い雨」訴訟 提訴にあたって

 

広島原爆「黒い雨」被害者は政府が大雨地域を被爆地域に指定した後、県連絡協議会を結成して37年にわたり、地域拡大の要求運動を続けてきましたが、政府は受け入れませんでした。そこで、連絡協議会は2014年秋に訴訟の方針を決め、その準備を1年間進めてきました。おかげさまで、「黒い雨」被害者64名の方が原告団に参加されて、8名の強力弁護団の編成で2015年11月4日に広島地裁に提訴することができました。

 私たち原告団も弁護団と力をあわせ、高齢をおしてがんばりますので大きなご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

 

原爆「黒い雨」訴訟原告団長 高野正明